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中国で成功した同級生 訪問

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中国で成功した同級生 訪問記

瀧本幸男(昭和39(1964)年理工卒)

 今から半世紀以上昔のことになるが、早稲田の理工学部で私と共に学んだ仲間に台湾からの留学生がいた。
 彼(楊 永祥)は大学卒業後台湾(高雄市)に戻り、大学研究室の恩師の指導で得たコイルの製造技術を基に、電子部品の製造工場を設立し1989年に有限会社とした。台湾の人件費も次第に高騰する方向にあることを予見し、人件費のさらに安い対岸の中国本土に工場を移転し太陽神(珠海)電子有限公司(アポロ電子)を香港マカオに近い珠海(ジュカイ)市に設立した。
 彼の経営方針は大陸人経営の会社とはいささか異なり、社員の福利厚生を大切に日本式に近い経営としたため多くの社員に好意的に受け入れられ、その結果、社員の定着率も高く会社の業績も向上し、売上・利益・若手就職先としても地域の発展に大いに貢献したようである。(それを物語るように彼の社長室には政府(県)から贈られた表彰状がところ狭しと掲げられている) その後更に太陽光電子公司を設立、また500kmほど北方の江西省の地に旭光電子公司を設立し、これらも成果をあげている。
  本社玄関前には寄贈された花束が並ぶ 本社/工場は特大の花輪も 本社/工場は花一杯で祝賀ムード
 今回の訪中は彼の2、3番目の工場が夫々創立15周年と10周年に当たり、その記念式典にクラスメートを招待してくれたツアーである。したがって彼は羽田と香港間の飛行機料金を除く現地旅費・滞在費の一切を支払ってくれた。それもその都市の一流ホテルの宿泊である。
 彼の3つの工場の総員は業績の向上とともに一時は3000人近くにもなったが、その後は製造法も改良された新製品の開発や自動化の推進で、今現在は千数百人程度となっている。
 本社組立工場 本社組立工場 厚生施設の卓球場 厚生施設のカラオケルーム
       本社組立工場       工場内の卓球練習室とカラオケルーム

にもかかわらず売上は伸びているそうである。製造しているのは、昔はブラウン管の偏向コイルという比較的大型の部品であったが、最近は街中で普通に使用するクレジットカードの磁気情報読み取り機や、各種紙幣の読み取りセンサなど小型コイルの応用部品などに変わっているとのことである。
 3ケ所の工場を見学させてもらったが、何処も広々とした敷地に3階建てのビルが建ち、その中が工場となっている。工場の中も広々としており、清潔感も存分に感じられる。写真で見られるように作業テーブルが並び女子工員が一列に座って手作業で製造したり検査したりしている。作業者はグループで類似の仕事をしているようで、グループ毎にトヨタのカンバン方式を見習った数値目標などが掲げられている。私はこのような現場を見て30年以上前の日本の製造現場風景を思いださざるを得なかった。現在の中国では高度の自動化と多人数手工業の経費を天秤にかけその結果でこのような人海戦術にしているのであろう。世界中で製品の高品質化が要求される中、この工場でも品質管理システムISO9000環境管理システムISO14000の認証も得ているのが自慢のように見えた。
  会長室の表彰状 会長室     式典会場で  
 (会長室での表彰状と楊君を囲む旧友たち) (記念式典で後列左から4人目が楊会長)

 2ケ所で行われた二つの工場の15周年と10周年の式典には、会社の幹部はもちろん県の役人も参加した300人規模の宴席が設けられ、若い女工さんたちとも一緒に会食した。このように地域の役人との友好関係を保つことが重要であるとのことであった。
 中国はいま高度成長を続けており、この要因はこのような優良企業が多いからかと思ったが、彼の説明は違っていた。真面目な企業であってもGDPへの寄与率は高々2%程度であろうと。中国が世界に向けて発表している高成長は、政府が国中に高速道路建設を進め、たとえ空き室が多くても高層マンションを次々と建築し続け、箱物作りによって経済への見かけ上の寄与率を推進しているからである、とのことであった。
 この波に乗って彼も積極的にマンション投資をしておりここ2,3年で既に3室を購入したが、それらはみな購入時の1.3倍になっているとのことであった。確かに街中を車で走ると高層マンションンが林立し、さらに新築工事中のものも多いのがわかる。現在香港近郊ではここ珠海市が最も発展が急速であり、また住みやすい街と評価されているとのことでマンション投資はうまく機能しているようである。街中にはアメリカ同様の超大型ショッピングセンターがあり、人々の格好の遊び場所となっている。センター内は人影は多いものの買い物袋をさげた人が見当たらないから、商店の売り上げは大いに疑問ではあるが。
     マンション建設に湧く珠海市内   ショッピングセンター
  高層ビルはマンション群   買い物客の少ないショッピングセンター   
 GDPを高める要因となっている高速道路を2日で1000キロ近く走行したが、どこも立派な3車線道路が続いており、大都市近郊以外は渋滞も無くきわめて閑散としている。走行していて我々の目を引いたのは大型キャリヤカーである。普通乗用車を縦に8台並べそれを荷台に、上2列下1列の計3列に搭載し輸送効率を高めている。
  大型運搬車   海洋博物館 海洋博物館

 日本では見られない大型運搬車  なんでも世界一の水槽と海洋館
 中国では昔から「何でも世界一」であることが大切である。確かに広大な土地があり、ゆったりした空間を自由に使えることは羨ましい限りである。広大であることは郊外や地方には手がまわらず、雑然としており不衛生感があり、公徳心に欠ける人々であるにもかかわらず、都市の街中だけはきれいな公園が整備され、清潔であり早朝には太極拳を楽しむ市民も多い。 珠海市がマカオと共に今後さらに発展する有力投資地区ということも今回の訪中で理解できた。 
    太極拳道場       仏塔
  市に寄贈した太極拳道場/広場  寄付金額が民間人でトップの仏塔

 楊君はいま社長職を娘婿に譲り会長となっているが、市の象徴となる仏塔への献金額では役人を除いた民間人では献金額の筆頭として名が刻まれ、また海の見える太極拳広場の建物を市へ寄付するなど名士としても君臨している。我がクラスメートの成功を共に喜び、3年後の30周年記念時に再訪中することを約して日本へ帰ってきた。

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